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CFA協会ブログ

No. 566                                                                                                                                                                                                                                          

202238 

女性にとってお金を稼ぐこと:あなたのビジネスモデルは何ですか?
Women and Money Making: What’s Your Business Model?

バーバラステュアート(Barbara Stewart, CFA

「ビジネスモデルとは、会社がどのようにお金をもうけるかを示す下図である」

  世界中の女性たちは、自分の個人的なビジネスモデルの最も重要な要素について、どのように考えているのでしょうか?

私は、202238日に自身の研究論文 “Smart Women: How Do They Make Moneyスマートな女性:彼女たちはどのように稼か?)を発表しましたが、その執筆のため、昨年53名の成功した女性にインタビューを行いました。38日は国際女性デーですので、それを記念して、様々な国や文化の女性たちがどのようにビジネスモデルを考え、そしてそれがビジネス面での成功にどのように貢献しているか、ここでいくつか事例を皆さんと共有したいと思います。

自分の個人的なビジネスモデルは、戦略的な方法で仕事に取り組むための心構え(マインドセット)だと考える女性もいます。

有名なブランドとなること

「私が自分のビジネスモデルについて考える場合に重要なことは、自身をブランディングし、自分ができることは何か、自分のどんなことが周りに知られているのかを明らかにすることだと思っています。私は、自分がベストを尽くせるよう時間と労力をすべてつぎ込み、成長するために何を知っておくべきか、誰を知らなければならないのかを理解する

ことに専念します。私は時間を有効に活用し、その結果多くのことにノーと言います」-ジェシカチャン(Jessica ChanInvestor Solutions Lead, JLL, 香港特別自治区

指針を持つこと

「私の個人的なビジネスモデルは、ある心構えを中心に構成されています。つまり、自分自身を、収入を生み出すための資産だと考えることです!私は自分の経歴のなかでも最盛期にいて、所得を毎年10%から15%増やすことを長年の指針としてきました。業績評価(既存の仕事か新しい仕事にかかわらず)において、私は給与10-15%アップについて交渉することを目指します」- ジョエルパン(Joelle Pang), FastJobs Malaysia社長,クアラルンプール、マレーシア

 頼れる人になること

「私の個人的なビジネスモデルの中心には、"ベスト・イン・クラス“になるという希望があります。私は自分が信頼性の高い情報源になるよう努めており、厳格な道徳基準に従っています。自分の役割は、最高投資責任者(CIO)や機関投資家のファンドマネジャーなど幹部の人たちの間を取り持つことです。私は、投資プロセスの指標や将来のパートナーとの出会いを求めている顧客、投資家、そしてエコシステム内の誰にとっても頼りになる存在ですが、いずれの場合も公私にわたって最高度の思慮深さが求められます。そのような関係者が誰であろうと『誰に相談すればよいのか』と尋ねられれば、彼らはこう言うでしょう『私ならマーシャ・ラーンドに相談する』と」- マーシャラーンドMarsha Larned, アジア太平洋地区機関投資家マネージングダイレクター, 香港特別自治区

 

その他の女性たちは、個人的なビジネスモデルを、経済的な成功を達成するために熟慮を伴うような仕事のやり方として考えています、例えば、フレームワームやプラットフォームを創出したり、他者とのコラボレーションを進めたりということです:

 

 フレームワークやプラットフォームの活用

  「私個人のビジネスモデルは、自分の時間を売 

 るという意味で、コンサルタントビジネスに通じるものがあります。ビジネス倫理学を専門とするコーチの一人として、起業家や創業者と共に歩みながら助言を提供しています。最初に気が付いたことは、価値を創造するためには、一段高く広い目線で物事を考え、成長をもたらしてくれるような協力者たちと協働しなければならないということでした。例えば、私は、そのアクセレータープログラムの一環として、Novo Nordisk財団と一緒に働いています。同財団では、いろいろなスタート・アップ企業に入り込んで投資を行っており、私も710社のスタートアップ企業に参加してコーチをしています。これからは、もっと調査研究を行い、他の人たちが活用できるようなフレームワークやプラットフォームを作り上げたいと考えています」— セシリーウィラー(Cecilie Willer),   Today.io の創業者コーチ、コペンハーゲン、デンマーク

 

 協働すること

  「私はいつも協働したいと思っています。私のこれまでのキャリア全体で拠り所としていることは、協働できる機会をとらえ維持していくこと、そして両者にとって確実に価値があるようにすることです。私は、プロジェクトそのものだけではなく、協働関係にも投資しています。これには大変な作業が必要であり、私が取り組む全てのプロジェクトではステークホルダーマップを作成しています。自分のエコシステム内で関係の強いステークホルダーをすべてリストアップして、Win-Win(ウィンウィン)の関係が見込めそうな関わりを特定し、それに従って関係を築いていきます。協働関係は、他者のリソースや専門性に頼ることで、より効果的に自分のメッセージを伝えられるよう助けてくれます」-ドナハジ(Dona Haj), MathWorksの欧州・中東・アフリカ地域におけるVentures and Tech Ecosystem責任者, ロンドン

 

  多くの他の女性にとって、個人的なビジネスモデルは、むしろ、お金を稼ぐための包括的なアプローチのようなものであり、ライフスタイル、健康そして幸福のような要素を取り巻く個人的な哲学をも含んでいます。

 

 ライフスタイル

  「お金に関する個人的な哲学を生み出すにあたって、私はある目的から始めました。まず自分にこう問いかけました。『どのようなライフスタイルを求めているのか』そう問いかけることで、これまで私はどのような経験を求めてきたのか、年間の旅行回数やどのようなタイプの家や自動車が欲しいのか、どのように時間を使っていきたいかなどを深く振り返ることができます。一旦、自分が望むこと全てにそれぞれ必要な金額を対応させ、その資金目標を達成するのはどうすればよいか逆算すれば、そんなに天文学的な数字にならないことに直ぐに気が付きました。私はサイクリングとハイキングが大好きで、どちらも特に高価なスポーツではありません!自分の金銭的な目標を明確に理解することで、自分が望むライフスタイルを送ることができるという安心感が得られます」-アレクサンドラエフィーモフ(Aleksandra Efimova), FLX® Stretch Training and Russian Pointe, CEO パームビーチ, フロリダ

 

 健康

  「私には、少なくとも外部顧客や収入、顧客へ提供できる価値(value propositions)を持つというような伝統的な意味でのビジネスモデルそのものはありません。むしろ、もっとシンプルなライフモデルです。色々と調べた結果ですが、私は自分(そして私たちほとんど)にとって幸せなことが3つあることがわかりました。それは、健康に恵まれること、親密な友人がいること、そしてやりがいのある仕事です。私は心身の健康を確保しました。私はいくつかの深い交友関係を築きました。また、自分にとって「やりがいのある」という意味は、選んだ職業のなかでも困難な問題に取り組むということだということに気が付いたのです。つまり、私は誰も成功しえなかった問題に汗を流すことが好きなのです」-アンシメーロトラ(Hansi Mehrotra), CFA, The Money Hansの創業者およびフィナンシャル・ウェルネス(金銭面の幸福度)コーチ,ムンバイ 幸福

  「『ビジネスモデル』の上に『幸福モデル』を持っていて、キャリア上の目標と同様に最大の幸福を得るにはどうすればよいか見出すことが大切です。私のモチベーションは、最大の報酬や見返りを得ることではなく、知的で情緒的に関与することです。それが人生に取り組むためのよいやり方だと考えたいのです」ジュディブルームストック(Judy Blumstock), Diamond Therapeutics創業者およびCEO, トロント

 

個人的なビジネスモデルは個性的です!仕事に対する自分たちの心構え、戦略、そして自分の哲学をどう作り上げていき、お金を稼いでいくかは、人それぞれです。私たち自身が成長すれば、同時に自分の個人的なビジネスモデルも進歩していきます。

 

執筆者

Barbara Stewart

(翻訳者:大濱 匠一、CFA

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Women and Money Making: What’s Your Business Model?

) 当記事はCFA協会(CFA Institute)のブログ記事を日本CFA協会が翻訳したものです。日本語版および英語版で内容に相違が生じている場合には、英語版の内容が優先します。記事内容は執筆者の個人的見解であり、投資助言を意図するものではありません。

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