56_02

[2021.12] CFA SOCIETY JAPAN NEWSLETTER December 2021, No.56

会員の皆様へ ご挨拶

2021年もあと残りわずかとなりましたが、会員の皆様にとってこの1年はどんな年でしたでしょうか。パンデミックは引き続きその猛威が報道され、新たな変異体の登場もあり予断を許さない状態が続きます。そんな中、世界の経済活動は再開に向けて動き出し、また金融市場は度重なる支援策などにも支えられて活気を取り戻しました。 日本も世界に追随する形で、慎重ではあるものの徐々に平常化に向けて行動に対する規制が緩められています。たまたま先日14回目を迎えたリサーチ・チャレンジが開催され、今年はファイナルに残った8チームとジャッジ、大会担当のボランティアの人たちなどが東京の会場に集まり、ほとんどがビデオ上で開催された昨年に比べてより臨場感のある大会となりました。今年は、これまでの最高である24チームの学生210名が2つの東アジア大会への切符をかけてチャレンジをしてくださいました。今後は、こうしたイベントは可能な限り会場とウェブ上の同時開催という「ハイブリッド方式」を標準としていきたい、と考えています。そうすることによって、これまで東京の会場にお越しになれなかった国内外の会員の皆様にも分け隔てなくご参加いただけるもの、と思います。

これまでの1年間、皆様と直接お会いする機会が制限されていたために、協会の活動は著しい制約を受けました。しかし先に述べたウェブ上で開催できるセミナーなどについては極力回数を減らすことなく開催できるように努めました。また、時間の都合でご参加いただけなかった会員の方々には、その録画をご覧いただけるための準備を進めています。

こうした中、CFA協会の強力なサポートの下、日本CFA協会では理事会のスリム化と新たな3年の中期計画の策定に多くの時間を割きました。理事会はこれまでの15名体制から10名への体制へと移行させ、同時に数々の協会の活動の執行を各コミッティーのチェアの方々にご担当いただくことで、しっかりとしたガバナンス体制を作りました。新しい中期計画の中では、コミッティを、より活動の対象となるステーク・ホールダーの方々を基本としたものへと組み替えました。その結果、メンバーシップ、パブリック・リレーションシップ、アドボカシー、ユニバーシティの4つのコミッティ体制となり、より効果的な運営やイベントの企画を進めていきたいと思います。

中期計画の根本となる目標の一つは会員の方々の満足度の向上です。これまでCFA資格が十分に認識されていない、という認識のもと、今後は特に社会にその重要性、有用性を訴えることを活動の柱の一つとしたいと思います。幸いにして、コロナ禍の12か月間に新たに企業スポンサーとして国内外の4社にご支持をいただき、日本CFA協会のスポンサー数は18社となりました。これらの企業でまずCFA資格の価値と重要性を認識、奨励していただき、同時に今年も新たなスポンサー企業を募っていきたいと思います。こうした動きが広がることによって、社会におけるブランド力が向上してくれれば、と願っています。

これと時期を同じくして、日本の「国際金融センター」構想が金融庁を軸に進められています。日本CFA協会は世界組織であるCFA協会のメンバーソサエティの一員として、そうしたプロジェクトを世界に広めるためのお手伝いを始めています。昨年の4月に行った海外の会員向けのアンケートでは、日本の国際化の為のひとつの要は「グローバル人材の育成」であることが浮き彫りになりました。こうした時代の要請にこたえる形で日本CFA協会の今後の活動に新たな側面が加わることになります。

パンデミックが落ち着くにつれ、世界の人々の動きが再開されることと思います。その時に会員の皆さんがより活躍をされる機会が増えるように、そして若い世代の人たちがCFA資格取得により関心を持ってくださるように努めていきたいと思います。

今はまだ完全に平常な状態には戻っていない段階です。会員の皆様におかれては、くれぐれも健康にご留意いただければと思います。活動に対する制限がなくなった時点で、また直接お目にかかれることを楽しみにしています。

日本CFA協会会長
出川 昌人, CFA