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[2022.4] CFA SOCIETY JAPAN NEWSLETTER April 2022, No.57

CFA協会リサーチチャレンジ2021 国内決勝大会優勝校、アジア大会進出をめざして健闘するもあと一歩~神戸大学チーム・立命館アジア太平洋大学Bチームのチャレンジ~

2021年は2020年に続いて新型コロナウィルス感染症が収束を見ることはありませんでしたが、CFA協会リサーチチャレンジは多くの関係者のご尽力のお蔭で無事開催することができました。新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、多くのイベントがオンライン開催となりましたが、国内決勝大会だけはハイブリッド形式で開催することができました。

今大会では参加大学の拡大に動き、前大会から5チーム増加の過去最高となる24チームにご参加頂きました。その結果、日本から2チームが東アジア小地区大会に進出できることになりました。協会としては3月から準備を始め、8月9日のキックオフでスポンサーご挨拶、ルール並びに倫理規定説明、グレーダー及びメンターリーダーからのアドバイス、参加チームの紹介に続き、担当メンターの抽選、そして最後に分析対象企業の発表を行いました。今大会の対象企業は日本を代表する化粧品メーカーである株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(以下ポーラ・オルビス)であり、協会としては参加学生が独特なビジネスモデルや海外(アジア)での成長ポテンシャルなどをどう分析に織り込むのかを楽しみにしていました。

参加学生は直ちに調査を開始し、9月上旬にポーラ・オルビスコーポレートコミュニケーション室長(当時)・橋直孝様より詳細な企業説明を頂き、中旬には同社コーポレートコミュニケーション室による個別ミーティングを通じて、会社への理解を深めて貰いました。指導教官及び運用業界の専門家であるメンターの指導を仰ぎながら、各チームは10月下旬に本文10ページ・参考資料最大10ページから成る英文投資推奨レポートを提出しました。2週間に亘るグレーダーによる厳正なる審査の結果、上位8チームが決勝ラウンドへ進む権利を得ました。

12月4日に行われた決勝大会では、各チームは事前に用意してきたプレゼン資料に沿って10分間の英語でのプレゼンテーション及び運用業界の専門家4名から成る審査員による10分間の質疑応答を行いました。全審査員による評価に、先に提出済みのレポートの得点を合計した総合得点により、神戸大学チーム(チームリーダー:高見周佑、指導教官:西村幸宏准教授、メンター:中山恵介, CFA(アムンディ・ジャパン))、立命館アジア太平洋大学Bチーム(チームリーダー:リドワン・グナワン、指導教官:フィリップ・ディーン・パルド、メンター:カルロス古屋, CFA(野村證券))の2チームが優勝の運びとなりました。8チームによる決勝大会は激戦でしたが、晴れて優勝した神戸大学チーム及び立命館アジア太平洋大学Bチームは、高い分析力及びプレゼンテーション能力が評価された形となりました。化粧品業界の事業環境見通し、ポーラ・オルビスの企業文化を含めた競争力及び収益力などをベースとした財務分析、業績予想並びにバリュエーションなどが高い評価を得ました。また、ポーラ・オルビスの事業構造の本質を的確に捉えていた点等が評価され、一橋大学Aチーム(チームリーダー:平岩拓人、指導教官:中野誠教授、メンター:大川畑聡(ニッセイアセットマネジメント))にポーラ・オルビス賞が授与されました。

見事日本大会を勝ち抜いた神戸大学チーム及び立命館アジア太平洋大学Bチームは、さらに磨きをかけて録画したプレゼンテーション動画を東アジア小地区大会へ提出しましたが、残念ながらアジア大会準決勝へと駒を進めることはできませんでした。

今回で本大会も14回目を数えますが、参加学生の実力は着実に向上していることが感じられます。参加学生は学業や就職活動等の合間を縫って数か月を本大会に費やしており、非常にいい経験をしているとのフィードバックを受けています。ここまでの企業分析や英語でのプレゼンテーションの経験はなかなか得られるものではなく、また業界の専門家であるメンターとの交流も貴重なものであるようです。この大会をきっかけに資産運用業界に就職することを決めた学生や分析対象企業に関心を持つようになった学生もいます。レポートの書き方を学び、卒業論文で表彰された学生もいると聞きます。チームワークの大切さやリーダーシップを学んだとの声も多くあります。

本大会はプラチナスポンサーとしてSMBC日興証券、ファクトセット・パシフィック、ゴールドスポンサーとしてインベスコ・アセット・マネジメント(ジャパン)、東京海上アセットマネジメント、野村アセットマネジメント、ピムコ・ジャパン各社からご支援を頂いています。また、運営、グレーダー、メンターと80余名に及ぶボランティアのサポートがあって成り立っています。ここに改めまして全ての大会関係者に御礼申し上げます。

日本CFA協会では、これからの日本社会を背負って立つ有為な学生諸子の実践的な学習の場として有意義な本大会をより広くプロモートして行くことを検討しています。次回大会以降、参加大学チーム数をさらに拡大することも視野に入れており、その場合にはお手伝い頂くボランティアスタッフの拡充も必要となります。本大会ボランティアにご関心をお持ちの方々のために説明会等も開催させて頂きますので、奮ってご参加頂けましたら幸いです。

ユニバーシティ・コミッティ
担当理事 王子田賢史