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[2022.12] CFA SOCIETY JAPAN NEWSLETTER December 2022, No.59

ご挨拶

世の中が平常に向かって動き始めました。
その一つの事例として海外からの訪問客の急増が挙げられます。つい最近まではホテルは青息吐息の状態で、宿泊費も本当に安いと思える状態が長く続きました。でも今では、東京や京都ではホテルの部屋を取ることさえ難しい日が出てきています。あとで聞いたところによると、日本は海外の人たちにとって「行ってみたい国」ナンバー・ワンになっているそうです。普段日本で生活をしている私たちにとっては、道路にゴミが落ちていないことは当たり前でしょうし、世界のいたるところで大人気となっている和食が手ごろな値段で食べれます。街は安全ですし、人々も海外からのビジターにはおおむね優しいだろうと思います。これに加えて昨今の円安の影響で、日本は「安く」行ける素晴らしい国になっているようです。(その分日本人の海外旅行や出張は、目玉が飛び出るくらい高くなってしまいました。)同じような理由で、日本に多くの金融のプロが移住してくれるともっといいですが。

そうしたなか、3年ぶりにアジア・オセアニア地区の様々なCFA協会の幹部の人たちが一堂に会する機会が最近ありました。他の国々のCFA協会がやっていることやその成り立ちは、日本とずいぶん違います。また、インドや中国の受験者数の多さが世界の中で突出している現実に直面すると、度肝を抜かれます。その中で、日本CFA協会が「変わっている」と思われている特徴の一つに、「コーポレート・スポンサー」の制度があります。ご存じの通り、今日本には19のコーポレート・スポンサーが存在し、そうした方々からの年会費は日本協会の収入の2割近くになっています。実は、こうしたスポンサー制度があるのは世界でも日本ぐらいだろうということです。昨年のあいさつ文の中でも触れたことですが、2年目を迎えた「中期目標」の一つは会員の方々の「満足度の向上」です。スポンサーの方々に、毎年更新の度に少なくとも二人の執行理事がお礼とご挨拶に伺っていますが、その度に「なぜCFA資格保持者を採用されるべきか」という日本向けの広報資料を携えて、幹部の方々や人事担当の方々とお話をさせていただいています。これにより、若い世代の人たちのCFA試験への挑戦を促すとともに、内部におられるCFAの資格保持者の方々の能力や価値について、改めて認識を深めていただけるように説明をしています。こうした活動はとても地味ですし、時間がかかることですが、機会あるごとにそれを有効活用することで、間接的にCFA資格保持者の方々の社会的地位の向上に役に立てれば、と思っています。

他の国々に追随する形で、日本でもこれまでの行動制限がずいぶん緩和されたので、ズーム方式ではなく対面で行う行事が増えています。秋から冬にかけてもCFA試験合格者のためのお祝いの集まりや、ジャパン・インベストメント・カンフェランス(JIC)、リサーチ・チャレンジの決勝大会などがありました。こうしたイベントのあとのレセプションで軽食や飲み物をお出ししたところ、毎回制限時間ギリギリまで多くの人たちが残り、3年ぶりのネットワーキングの機会を満喫されていました。今後は、イベント自体は可能な限りビデオ形式でも配信して、実際に参加することが難しい会員の方々にも役に立てていただく一方で、同じトピックに関心を持つ人たちが直に交流をしていただける場を提供したい、と思います。

金融の世界の国際化は加速する一方であろうと思います。そうした環境の中で日本CFA協会の果たす役割はより大きくなることでしょう。2023年は、皆さんと共にその存在価値をよりアピールしていける1年にしていきたいと思います

代表理事 出川昌人, CFA