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[2022.12] CFA SOCIETY JAPAN NEWSLETTER December 2022, No.59

ジャパン・インベストメント・カンファレンス2022(JIC2022)-盛況のうちに閉幕

日本CFA協会は、11月15日に東京コンベンションホールにて「「ジャパン・インベストメント・カンファレンス2022」を3年振りに対面開催しました。今回のニュースレターでは、カンファレンスの模様や参加者の声などをお伝えしたいと思います。

本カンファレンスは「Gearing Up Sustainable Finance / サステナブル・ファイナンスの推進」をテーマに、グローバルな視点からESG規制や情報開示基準に関する最新動向を幅広く紹介し、内外の規制当局・実務家・専門家をスピーカーにお迎えし、その動きの背景や影響について深く議論を行いました。本カンファレンスには、金融・資産運用業界の関係者だけでなく、事業会社のESG担当者、大学教員等学術研究者にも幅広くご参加頂き、様々な角度から有益な情報を提供できたものと思います。

カンファレンスの前半では、各国規制当局の動きによる主に投資家・資産運用業界への影響について講演及びパネルディスカッションが行われました。CFA協会のクリス・フィドラーが、SEC規制案および欧州のサステナブル・ファイナンス開示規則(SFDR)と比較をしつつ、CFA協会が作成公表したGlobal ESG Disclosure Standards for Investment Productsの概略を紹介しました。それに続く日米欧の資産運用会社及び研究機構の専門家からなるパネルディスカッションでは、運用会社に対するSEC規制及びSFDRを初め、それぞれの地域・国の規制に対する対応について議論しました。

日本の規制当局の動きとして、金融庁総合政策課 高田英樹課長から金融庁が最近公表したレポートや規範等を踏まえ、具体的な中身や現状の問題点、資産運用会社への期待、及び監督指針等について講演をして頂きました。また、ESG人材育成推進の一環として、CFA協会のCertificate in ESG Investingについて、オリジナル教材の共同著者である英国CFA 協会のベン・ヨーがそのカバー範囲やESGを投資プロセスに統合するケーススタディなどの解説を行いました。

カンファレンスの後半では、人的資本経営に関する内外の現状分析、および企業の非財務情報開示基準に焦点をあてた講演及びパネルディスカッションを行いました。人的資本経営について、CFA協会のサラ・メイナードが海外企業の状況を紹介し、日本における動向としは、経産省経済産業政策局産業人材課 島津裕紀課長から日本における人的資本経営の基礎や政策を含めた最近の動向、経営のポイントやフレームワーク、各社の取組事例やコンソーシアム等について詳しく解説して頂きました。これら講演に続き、ムーディーズ・インベスターズ・サービス ブライアン・ケーヒル氏からクレジット分析における内外企業のケーススタディを中心に講演をして頂きました。

岸田政権が提唱する「新しい資本主義」が大きく注目されている中、内閣官房 木原誠二副長官にご登壇頂き、新しい資本主義実現のためのサステナブル・ファイナンス及びESG投資についての講演をして頂きました。

企業の非財務情報開示に関しまして、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の初の日本人理事である小森博司氏から、サステナビリティ開示基準統一化のこれまでの経緯と意義、進捗、および効果への期待について解説をして頂き、金融庁企画市場局企業開示課国際会計調整室 園田周室長からは国内外におけるサステナビリティ開示の現状と見通しについて説明をして頂きました。これを受けて、事業法人のESG情報開示の課題と投資家の期待というテーマをめぐって、ESG情報開示研究会 / 日立製作所 増田典生氏、GPIF塩村賢史氏、及びPwC サミー・ラン氏によるプレゼンテーションやパネルディスカッションが行われました。ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏にモデレーターを務めて頂き、ESG 情報開示に優れた企業、情報開示の標準化と今後の展望などが議論されました。

最後に、日本CFA協会の出川昌人会長より、日本CFA協会では様々な活動を通じてこれからもESGを推進していきたいとの考えが改めて表明され、総括がなされました。

今回は3年振りの対面開催となり、雨にも関わらず230名以上参加者が来場し、ランチビュッフェだけでなく、18時半スタートのレセプションにも多くの方に積極的に参加して頂き、ポストコロナのネットワーキングへの熱意を改めて強く感じました。このようなネットワーキングの場を提供できたことも非常に嬉しく思います。

本カンファレンスに対して参加者からは以下の様な声が聞かれました。

  • 動きが速いESG投資の分野で、最先端の話題がとりあげられており有益であった
  • 3年ぶりのオンサイト、素晴らしいと思う。やはりオンラインよりも内容が頭に入るし、ネットワークの構築にもすぐれる
  • 公開情報にとどまらず、ご本人の示唆を出していただくことが有益な時間になると思う
  • まさに旬のテーマを取り上げて頂き、資本市場関係者が今後どのような動きをするのかを理解できたこともあり、企業担当者にとっても有益であった

当協会では、こうした皆様からの声を活動に活かしてゆく所存です。今後のセミナーやカンファレンスについても、皆様の積極なご参加をお待ちしています。最後となりましたが、本カンファレンスは、日本CFA協会会員の方をはじめ多数のボランティア活動によって支えられました。皆様の多大なる貢献に感謝の意を表します。

パブリック・リレーションシップ・コミッティ
バイスチェア 姚 佳, CFA