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[2023.12] CFA SOCIETY JAPAN NEWSLETTER December 2023, No.62

新体制のご挨拶

気が付くと今年もあと僅かを残すのみとなりましたが、会員の皆様はどんな一年間をお過ごしでしたでしょうか。

昨年のご挨拶では、世の中の平常化に伴い、円安が進行し風景が一変したことに触れました。今年はそれにインフレが加わって、私たちを取り巻く環境の変化が加速したようです。失われた30年の間、日本はデフレから脱することができず、賃金がちっとも上がらない状態が続きました。ただ世界を見渡すと、エネルギー価格の高騰や人手不足などが影響を及ぼし、残念なことに地政学的な不安定さがそれに拍車をかけているようです。その意味では、経済の状態から目が離せなくなっています。

年間を通して体感した円安は、出張先の海外での宿泊代の高騰や食事を円換算したときの驚きに直結しました。旅先で食べようとしたラーメンやうどんが何千円もしたりして、思わず財布のひもが固くなった経験をされた方も多くいらっしゃると思います。 その反面、東京駅のみならず日本中で海外からのビジターがあふれ、これまで以上の混雑に直面しています。出張をしてくるビジネスパーソンも引きも切らず、彼らと食事をすると昼食に何千円も使っても「安い」を連発されるので、思わず「格差」が生じていることを考えることがしばしばです。

さて、秋の総会の場で、新しい体制のご承認をいただきましたが、理事会は8名体制のまま、新たにボランティアとしての活躍の長いスコット・アンダーソンさんをお迎えし、またロンドンから帰任される予定の荒井卓氏に再度理事に就任をしていただきました。したがって理事8名中、外国の方が2名、女性は3名になります。引き続き中期計画に従ってできることから実行をしていますが、今年は最終年度になりますので、さらに進展を目指します。

いま日本CFA協会を取り巻く環境は、政府の掲げる「資産運用立国」というテーマを考えると、まさに以前では考えられなかったような主役の舞台を用意されたように感じます。これまで何度か関係官庁とも協議を重ねましたが、グローバル人材の育成の分野で貢献することが、まず貢献できることの筆頭になるだろうと思います。また、現場で活躍している会員の方々の意見を集約した形で、日本をより重要な金融の場とするための提言をさせていただきました。人材育成に関しては、今回のニュースレターにもあるように、16回目を迎えたリサーチチャレンジでは、ボランティアの参加が100名を超え、出場チームの数が初めて30の大台に乗りました。決勝ラウンドでの大学生たちの熱気あるプレゼンテーションを見て、これからの日本の金融業界を支えてくれる世代の頼もしさを感じられた方も多かったのでは、と思います。 一方で対面でのイベントの解禁にともない、セミナーやCFA試験の合格者の方々をお招きしてのセレモニーなども復活し、活動に弾みが出てきています。また、2024年5月には2年ぶりに当協会の主催するカンファレンスが企画されています。

また、新しい動きとして、日本アナリスト協会(SAAJ)との協業を模索することにも着手しました。これからはできるところは協力をして、より大きな業界の声を発信できるようにしていきたいと思います。

中期計画は一朝一夕で達成できないものばかりですが、今後の方向性としては、会員の皆さんの世の中における重要性をより認知していただけることを、引き続きメインテーマとしたいと思います。少しずつですが、CFAの資格がほかのファイナンシャルセンターの国々でのように重要視されるように、という思いでこれからの1年間の活動をしていきたいと思います。

最後になりますが、2024年が会員の皆様にとって、より実り多き一年となることをお祈りします。そして、様々なイベントでお会いできることを、楽しみにしています。

代表理事 出川昌人, CFA

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