マーク・フォーチュン(Mark Fortune)
「投資業界の将来像(Future State of the Investment Industry)」が共感を呼んでいます。
今年、CFA協会は世界の投資業界に実務的かつ有益な影響を与える存在となるべく、リサーチ&ポリシー・センター(RPC)を発足させ、最終的に社会に利益をもたらすため、分析を通じた洞察を市場の強化・倫理の進化・投資家の成果の向上に繋がる行動へと変革しようとしています。
RPCは、CFA協会の専門知識と複雑な問題に協働して取り組む専門家の多様で分野横断的なコミュニティを結集しています。RPCは、実務家の視点とCFA協会の招集力・公平性・信頼性から情報を得ています。そして、CFA協会の使命は、社会の究極的な利益のために、最高水準の倫理・教育・卓越した専門性を動員し、投資専門家をグローバルに導いていくことです。
以下は、RPCが創刊以来発表した2023年の人気の上位10記事です:
1. 「投資業界の将来像(Future State of the Investment Industry)」
本レポートは、今後5年から10年の間に投資業界に影響を及ぼす最重要な動きを構造的に説明したもので、2023年の記事の中で最も人気のあるコンテンツです。投資プロフェッショナルが変化を乗り切り、顧客の投資成果を向上させるための道筋を教えてくれます。
2. 投資における人工知能とビッグデータ活用ハンドブック(Handbook of Artificial Intelligence and Big Data Applications in Investments)
人工知能(AI)とビッグデータは、現代の資産運用会社の至る所に足跡を残しています。編集したラリー・カオ(Larry Cao), CFA をはじめとした本書の執筆者は、最新のデータ・サイエンス技術を、あたかも犯罪捜査の刑事のように詳細に調べ上げています。そして、優れた探偵小説のように、今まで明らかにされることのなかった多くのことが、同時に驚くほど鮮明に書かれているのです。
3. 「マーサー(Mercer)・CFA協会グローバル年金指数2023(Mercer CFA Institute Global Pension Index 2023)」
本報告は、世界人口の64%を占める47の退職所得制度を世界で最も包括的に比較し、調査した各年金制度の有効性を向上させる方法を提案します。
4. 「ESGへの経済学の適用 - 直感ではない(Applying Economics — Not Gut Feel — to ESG)」
ESGが財務的・社会的価値を生み出す他の投資と何ら変わらないことを理解できれば、経済学のメインストリームにESGを適用することができます。アレックス・エドマンズ(Alex Edmans)によるこの論文は、健全な経済原則を適用することで、ESGに関する10の重要課題について従来の考え方を覆します。
5. 暗号資産の価値算定: 投資専門家のためのガイド(Valuation of Cryptoassets: A Guide for Investment Professionals)
ビットコイン・イーサリアム・その他暗号資産の価値算定は、投資業界のまさに取り組むべき課題です。ウワブ・ソニ(Urav Soni)とロドリ・プリース(Rhodri Preece),CFA は、暗号資産の価値算定に利用可能なツールを見直すことで、実務家が暗号資産の価格変動をよりよく理解できることを目指します。
6. 「追悼 ハリー・マーコウィッツ(Harry Markowitz in Memoriam)」
ハリー・マーコウィッツ(Harry Markowitz)は、ポートフォリオ選択に係る数学的アプローチで投資を一変させました。数十年経った今でも、彼の分析枠組みは現代行動ファイナンスの中核をなしています。Financial Analysts Journalの編集長であるウィリアム・ゲッツマン(William Goetzmann)が、マーコウィッツの伝説とも言える革新的な手法を解説しています。
7. 「CFA協会による中央銀行デジタル通貨に係るグローバル調査(CFA Institute Global Survey on Central Bank Digital Currencies)」
ステファン・ディーン(Stephen Deane),CFA とオリヴィエ・ファインズ,CFA (Olivier Fines)による本報告は、中央銀行デジタル通貨(central bank digital currencies, CBDC)の潜在的なエンドユーザー層の意識を調査することで、CBDCの需要を測定します。本報告はCFA協会のグローバル会員調査に基づくものです。
8. 「投資ファンドの情報開示におけるグリーンウォッシュ・リスクの検討: 投資家の視点(An Exploration of Greenwashing Risks in Investment Fund Disclosures: An Investor Perspective)」
ニコール・ゲーリッグ(Nicole Gehrig)とアレックス・モレノ(Alex Moreno)は、グリーンウォッシュ・リスクの認識を生じさせ得る開示の問題の本質を理解するため、投資家目線で環境・社会・ガバナンス(ESG)情報に関連する投資ファンドの開示を分析しています。
9. 「ビッグデータを用いたテーマ投資: プライベート・エクイティの事例(Thematic Investing with Big Data: The Case of Private Equity)」
プライベート・エクイティに関連するニュース用語の頻度を調査して企業をスコアリングする自然言語処理の技術を用いて、ルドヴィック・ファリッポウ(Ludovic Phalippou)は、テーマ・エクスポージャーと流動性によって重み付けされた指数を生成しました。そのリターンは取引不可能な指数(訳注:LBOファンド指数、等)と高い相関性を持ちます。
10. 「Z世代と投資: ソーシャルメディア、暗号、FOMO、家族(Gen Z and Investing: Social Media, Crypto, FOMO, and Family)」
本説明では、投資をめぐるZ世代の知識と行動を検証しています。2022年11月から12月にかけて、米国・カナダ・英国・中国の18歳から25歳のZ世代・ミレニアル世代・X世代2,872人を対象に実施したオンライン調査のデータに基づいています。
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(翻訳者:篠原 央士、CFA)
英文オリジナル記事はこちら
https://blogs.cfainstitute.org/investor/2023/12/05/research-and-policy-center-top-10-articles-of-2023/
注) 当記事はCFA協会(CFA Institute)のブログ記事を日本CFA協会が翻訳したものです。日本語版および英語版で内容に相違が生じている場合には、英語版の内容が優先します。記事内容は執筆者の個人的見解であり、投資助言を意図するものではありません。
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