デイヴィッド・ブランシェット、CFA & スペンサー・ルック
確定拠出年金(DC)のコア・メニューにおける資産配分の5つのトレンド
確定拠出年金(DC)制度は、米国の退職年金制度の中心的柱となっており、そのコア・メニューに組み込まれている資産配分は、投資の専門家が無視できない形で進化を遂げています。ターゲット・デート・ファンド(TDF)がプラン資産に占める割合を拡大し続ける一方で、コア・メニューの配分は米国の大型株式に一層集中し、さらにグロース株への傾斜も強まっています。一方、債券における分散投資は依然として限定的なままです。
本分析では、10年間にわたる401(k)プランのデータを活用し、コア・メニューにおける資産配分の変化を調査しました。この研究の詳細は、先日DCIIAリタイアメント・リサーチ・センターを通じて公表されました。
米国の労働者にとって主要な老後資産の積み立て手段としてDCプランの重要性が高まっていることを踏まえ、投資の専門家が認識しておくべき5つの注目すべきトレンドを以下に挙げます。
1.ターゲット・デート・ファンド(TDF)の台頭
デフォルト(初期設定)の投資商品、特にTDFが、プラン全体の資産に占める割合を拡大し続けています。4兆ドルを超える資産規模を持つTDFは、DCプランにおける主要なデフォルト選択肢として台頭しました。これは、他の2つの「適格」な選択肢である、バランス型ファンドやマネージド・アカウントの資産額を大幅に上回っています。一般的な予測では、現在DC資産の約40%をTDFが占めており、2030年までには50%を超えると見られています[1]。
TDFの台頭は、従来のコア・メニューにある(初期設定ではない)個別ファンドへ流入する絶対的な金額に対して、興味深い影響を及ぼします。これはDC市場全体の規模がどう推移するか、また他のデフォルト選択肢が今後どれだけ受け入れられるかによって変わってきます。例えば、Cerulli(2025年)では、DCの総資産は2024年の13.6兆ドルから2030年には19.3兆ドルに増加すると予測しています。したがって、たとえTDFが資産を集め続けたとしても、コア・メニューを組み合わせてポートフォリオを構築するマネージド・アカウントなどの仕組みが普及すれば、コア・メニュー自体の資産残高は横ばい、あるいは純増する可能性さえあります。
2.米国大型株の優位性が拡大
初期設定以外の投資オプションの中では、米国大型株がコア・メニューの配分において最大のシェアを占めており、その割合は年々増加しています。これは、近年の米国大型株の力強いパフォーマンスを反映したものと考えられます。
米国株の時価総額別(大型、中型、小型)グループへの配分比率は、米国全体や世界全体の株式時価総額と比較すると、やや驚くべき状況にあります。例えば、コア・メニューにおいて米国大型株に配分されている資産は、中型・小型株の約4〜5倍に達しています。しかし、実際の時価総額ベースでは中型・小型株の市場規模は、大型株に比べてそれぞれ約16倍、25倍と大きいです。この乖離は、資産配分の決定において市場規模よりも、メニューにおける投資商品のラインナップが大きな役割を果たしていることを示唆しています。
3.グロースがバリューを上回る
コア・メニューにおいて、米国大型グロース株ファンドの数は米国大型バリュー株ファンドよりわずかに多い程度ですが、保有資産額では2倍以上の差をつけており、その配分比率は過去10年間で上昇し続けています。グロース株への配分は、他の米国株式スタイルを上回る傾向にありますが、この差は中小型株のカテゴリーになるほど小さくなります。
このようにグロース株への偏重が強まっている現状は、近年のグロース株の好調なパフォーマンスと一致しています。しかしその一方で、市場の主導権がバリュー株へとシフトした場合に、スタイル・ローテーションリスクへのエクスポージャーを高める要因にもなります。
4.コア・メニューにおける債券の選択肢の少なさ
株式、特に米国株式については豊富な選択肢が用意されている一方で、コア・メニューにおける債券の分散投資の選択肢は、一般的に相対的に不足しています。例えば、コア・メニューでは通常12種類近い株式の選択肢が用意されていますが、今回の調査対象となった平均的な401(k)プランでは、債券ファンドは約4.5種類に留まっていました。その内訳は、主に単一のキャッシュの選択肢と、2つの米国中期債券ファンドという構成です。
高齢の投資家ほど保守的なポートフォリオを選好する傾向があるため、より多くのDC加入者が退職後もプラン内に資産を留めるようになれば、債券の重要性は今後さらに高まる可能性があります。我々の見解では、過去10年間にわたりコア・メニューにおける債券商品にほとんど変化が見られなかったことは、今後プラン・スポンサーが対処すべき課題であると考えています。
5.規模の大きいプランほどより基本的な運用になる
大規模なDCプランは、小規模なプランに比べて分散効果を高める資産の選択肢が少ない傾向にあり、その結果、資産のより大きな割合を伝統的な資産クラスへと配分しています。大規模なプランは通常、オルタナティブ投資の潜在的なメリットをより深く理解しており、特に確定給付(DB)型年金も併設している場合はその傾向が強いため、これは幾分驚くべき結果です。理論上、大規模なプランは小規模なプランよりも、プライベート資産を含む専門的な投資オプションへのアクセスが容易であるはずです。この明らかな乖離が今後どのように展開していくかは、注目に値します。
これらのトレンドを総合すると、DCプランのコア・メニューにおける資産配分は、意図的なポートフォリオ構築だけでなく、初期設定、投資商品のラインナップ、そしてプラン設計上の判断にも影響されることが示唆されています。退職後の貯蓄においてDCプランが果たす役割がますます重要になる中、投資の専門家にとって、こうした諸要因がどのように相互作用しているかを理解することはますます重要になっています。
[1]Cerulli(2025年)
執筆者
デイヴィッド・ブランシェット、CFA & スペンサー・ルック
(翻訳者:今井 義行、CFA)
英文オリジナル記事はこちら
https://rpc.cfainstitute.org/blogs/enterprising-investor/2026/how-asset-allocation-is-changing-in-core-401k-menus#_ftnref1
注) 当記事はCFA協会(CFA Institute)のブログ記事を日本CFA協会が翻訳したものです。日本語版および英語版で内容に相違が生じている場合には、英語版の内容が優先します。記事内容は執筆者の個人的見解であり、投資助言を意図するものではありません。
また、必ずしもCFA協会または執筆者の雇用者の見方を反映しているわけではありません。