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[2022.12] CFA SOCIETY JAPAN NEWSLETTER December 2022, No.59

CFA協会リサーチチャレンジ2022
国内ファイナル大会優勝校アジア大会・グローバル大会進出をめざしてもうひと踏ん張り
~東京工業大学チーム・立命館アジア太平洋大学Bチームのチャレンジ~

2022年に入っても新型コロナウィルス感染症の完全収束を見ることはありませんでしたが、CFA協会リサーチチャレンジは多くの関係者のご尽力のお蔭で無事開催することができました。新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、引き続き多くのイベントがオンラインあるいはハイブリッドで開催されるなか、国内最終審査会(決勝ラウンド)だけはオンサイト形式で開催することができました。

今大会でも参加大学の拡大に努め、前大会から2チーム増加の過去最高となる26チームに参加頂きました。協会としては3月から準備を始め、8月6日のキックオフでスポンサーご挨拶、ルール並びに倫理規定説明、グレーダー及びメンターリーダーからのアドバイス、参加チームの紹介に続き、担当メンターの抽選、そして最後に分析対象企業の発表を行いました。今大会の分析対象企業は世界をリードする空調機器メーカーであるダイキン工業株式会社(以下、ダイキン工業)であり、協会としては参加学生が海外での成長戦略やカーボンニュートラルへの挑戦などをどう分析に織り込むのかを楽しみにしていました。

参加学生は直ちに調査を開始し、9月上旬にダイキン工業コーポレートコミュニケーション室長・細見基志様より詳細な企業説明を頂き、中旬には同社コーポレートコミュニケーション室による個別ミーティングを通じて、会社への理解を深めて貰いました。指導教官及び運用業界の専門家であるメンターの指導を仰ぎながら、各チームは10月下旬に本文10ページ・参考資料最大10ページから成る英文投資推奨レポートを提出しました。2週間に亘るグレーダーによる厳正なる審査の結果、上位8チームが決勝ラウンドへ進む権利を得ました。

12月3日に行われた決勝大会では、各チームは事前に用意してきたプレゼン資料に沿って10分間の英語でのプレゼンテーション及び運用業界の専門家5名から成る審査員による10分間の質疑応答を行いました。全審査員による評価に、先に提出済みのレポートの得点を合計した総合得点により、東京工業大学チーム(指導教官:永田京子准教授、メンター:アセットマネジメントOne松澤幹樹氏)、立命館アジア太平洋大学Bチーム(指導教官:Lee Guenhee教授、メンター:アムンディ・ジャパン浦昌平氏)の2チームが優勝の運びとなりました。8チームによる決勝大会は激戦でしたが、晴れて優勝した東京工業大学チーム及び立命館アジア太平洋大学Bチームは高い分析力及びプレゼンテーション能力が評価された形となりました。ダイキン工業の競争環境の先行きを見据えたうえでの成長見通し、企業文化を含めた競争力及び収益力などをベースとした財務分析、業績予想並びにバリュエーションなどが高い評価を得ました。また、ダイキン工業の経営理念に合致するパッションとチームワークに加えてユニークな分析手法が評価され、名古屋大学チーム(指導教官:清水克俊教授、メンター:BNYメロン・インベストメント・マネジメント倉田雄介氏)にダイキン工業賞が授与されました。

見事日本大会を勝ち抜いた東京工業大学チーム及び立命館アジア太平洋大学Bチームはさらに磨きをかけて来年3月に行われる東アジア小地区大会に挑みます。勝ち上がれば、アジア大会、さらにはグローバル大会へと駒を進めることになります。両チームの健闘に大いに期待しています。

 今回で本大会も15回目を数えますが、参加チームの分析のレベルは年々着実に向上しています。参加学生は学業や就職活動等の合間を縫って数か月を本大会に費やしていますが、「非常にいい経験ができた」、「やった甲斐があった」、というポジティブなフィードバックを多く頂いています。ここまでの企業分析や英語でのプレゼンテーションの経験はなかなか得られるものではなく、また業界の専門家であるメンターとの交流も貴重なものであるようです。この大会をきっかけに資産運用業界に就職することを決めた学生や分析対象企業に関心を持つようになった学生も大勢います。また、レポートの書き方を学び、卒業論文で表彰された学生もいると聞きます。チームワークの大切さやリーダーシップを学んだとの声も多くあり、この大会を継続していくことの重要性を毎年再認識しています。

 本大会はプラチナスポンサーとしてSMBC日興証券、ファクトセット・パシフィック、ゴールドスポンサーとしてインベスコ・アセット・マネジメント(ジャパン)、東京海上アセットマネジメント、野村アセットマネジメント各社の支援を受けています。また、運営、グレーダー、メンターと80余名に及ぶボランティアのサポートがあって成り立っています。ここに改めて全ての大会関係者に御礼申し上げます。日本CFA協会では、これからの日本社会を背負って立つ有為な学生諸子の実践的な学習の場として有意義な本大会をより広くプロモートして行くことを検討しています。次回大会以降も、参加大学チーム数をさらに拡大することも視野に入れており、その場合にはお手伝い頂くボランティアスタッフの拡充も必要となります。本大会ボランティアにご関心頂ける方にはまた説明会等も開催させて頂きますので、奮ってご参加頂ければと思います。

ユニバーシティ・コミッティ
チェア 有江慎一郎