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[2023.12] CFA SOCIETY JAPAN NEWSLETTER December 2023, No.62

CFA協会リサーチチャレンジ2023-2024
国内ファイナル大会優勝校アジア大会・グローバル大会進出をめざしてもうひと踏ん張り
~筑波大学大学院チーム・立命館大学Aチームのさらなるチャレンジ~

新型コロナウィルス感染症が5類感染症に移行されて以降、初めてのCFA協会リサーチチャレンジの国内大会の最終審査会(決勝ラウンド)は、会場に集まる人数に制限を設けることなく開催することができました。

今大会でも参加大学の拡大に努め、前大会から4チーム増加の過去最高となる30チームに参加頂きました。協会としては3月から準備を始め、8月5日のキックオフでスポンサーご挨拶、ルール並びに倫理規定説明、グレーダー及びメンターリーダーからのアドバイス、参加チームの紹介に続き、担当メンターの抽選、そして最後に分析対象企業の発表を行いました。今大会の分析対象企業は調味料、冷凍食品、アミノサイエンス等の事業を世界に展開する味の素株式会社(以下、味の素)であり、協会としては参加学生が海外での成長戦略やアミノサイエンス事業の展開などをどう分析に織り込むのかを楽しみにしていました。

参加学生は直ちに調査を開始し、8月下旬に味の素のコーポレート本部グローバル財務部 Global Executive Specialist IRグループ長・梶昌隆様より詳細な企業説明を頂き、引き続き同社IRグループによる個別ミーティングを通じて、会社への理解を深めて貰いました。指導教官及び運用業界の専門家であるメンターの指導を仰ぎながら、各チームは10月下旬に本文10ページ・参考資料最大10ページから成る英文投資推奨レポートを提出し、2週間に亘るグレーダーチームによる厳正なる審査の結果、上位8チームが決勝ラウンドへ進出しました。

12月2日に行われた決勝大会では、各チームは事前に用意してきたプレゼン資料に沿って10分間の英語でのプレゼンテーション及び運用業界の専門家5名から成る審査員による10分間の質疑応答を行いました。全審査員による評価に、先に提出済みのレポートの得点を合計した総合得点により、筑波大学大学院チーム(教官:大野 忠士教授、メンター:ジェイ・フェニックス・リサーチ 宮下 修氏))、立命館大学Aチーム(指導教官:青野 幸平教授、メンター:アムンディ・ジャパン 中山 惠介氏)の2チームが優勝の運びとなりました。8チームによる決勝大会は激戦でしたが、晴れて優勝した筑波大学大学院チーム及び立命館大学Aチームは高い分析力及びプレゼンテーション能力が評価された形となりました。味の素の競争環境の先行きを見据えたうえでの成長見通し、企業文化を含めた競争力及び収益力などをベースとした財務分析、業績予想並びにバリュエーションなどが高い評価を得ました。またプレゼンテーションのわかりやすさ、中期経営計画の理解度、ガバナンスの詳細分析などが評価され、立教大学Aチーム(指導教官:石田 惣平准教授、メンター:シティグループ証券 鶴尾 充伸氏)に味の素賞が授与されました。

見事日本大会を勝ち抜いた筑波大学大学院チーム及び立命館大学Aチームはさらに磨きをかけて来年3月に行われる東アジア小地区大会に挑みます。勝ち上がれば、アジア大会、さらにはグローバル大会へと駒を進めることになります。両チームの健闘に大いに期待しています。

 今回で本大会も16回目を数えますが、参加チームの分析のレベルは年々着実に向上しています。参加学生は学業や就職活動等の合間を縫って数ヶ月を本大会に費やしていますが、「非常にいい経験ができた」、「やった甲斐があった」というポジティブなフィードバックを多く頂いています。ここまでの企業分析や英語でのプレゼンテーションの経験はなかなか得られるものではなく、また業界の専門家であるメンターとの交流も貴重なものであるようです。この大会をきっかけに資産運用業界に就職することを決めた学生や分析対象企業に関心を持つようになった学生も大勢います。また、レポートの書き方を学び、卒業論文で表彰された学生もいると聞きます。チームワークの大切さやリーダーシップを学んだとの声も多くあり、この大会を継続していくことの重要性を毎年再認識しています。

 本大会はプラチナスポンサーとしてSMBC日興証券、ファクトセット・パシフィック、ゴールドスポンサーとしてインベスコ・アセット・マネジメント(ジャパン)、東京海上アセットマネジメント、野村アセットマネジメント、フィデリティ投信各社の支援を受けています。また、運営、グレーダー、メンターと80余名に及ぶボランティアのサポートがあって成り立っています。ここに改めて全ての大会関係者に御礼申し上げます。日本CFA協会では、これからの日本社会を背負って立つ有為な学生諸子の実践的な学習の場として有意義な本大会をより広くプロモートして行くことを検討しています。次回大会以降も、参加大学チーム数をさらに拡大することも視野に入れており、その場合にはお手伝い頂くボランティアスタッフの拡充も必要となります。本大会ボランティアにご関心頂ける方にはまた説明会等も開催させて頂きますので、奮ってご参加頂ければと思います。

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ユニバーシティ・コミッティ・チェア 有江慎一郎, CFA 

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