[2025.8] CFA SOCIETY JAPAN NEWSLETTER August 2025, No.67
「ジャパン・インベストメント・カンファレンス2025(JIC2025)」開催報告(5月28日)
日本CFA協会は、2025年5月28日、東京コンベンションホールにて「ジャパン・インベストメント・カンファレンス2025」を開催しました。「Moving Forward to a Global Asset Management Power:資産運用立国の実現に向けて」をテーマに、金融・資産運用業界を中心に、事業会社、大学関係者など多様な分野から、過去最多となる360名が参加しました。資産運用会社、アセットオーナー、個人投資家という3つの視点から、内外の規制当局・実務家・専門家が登壇し、業界の課題や展望について多角的な議論が行われました。

カンファレンスの中盤には岸田前首相による基調講演が行われ、資産運用立国の実現に向けた官民の連携やインベストメント・チェーン全体への施策の重要性が語られました。政府として成長型経済への変革をリードしていく姿勢を示した点は、本カンファレンスにおいて象徴的なメッセージとなりました。

第一部では、資産運用業界の「運用力強化」に向けた課題と取り組みについて国内外の視点から検討されました。モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのルイ・デ・フィゲイレド氏が資産運用会社の統合や米国プライベート市場の動向について、野村アセットマネジメントの村尾祐一氏は、エンゲージメント体制強化への取り組みと多様性に関する研究成果を紹介しました。パネルディスカッションでは、国内外の大手運用会社が登壇し、人材育成を含む「運用力強化」の実践例について意見が交わされました。
第二部では、アセットオーナーの視点から運用の高度化や社会的課題への対応が議論されました。GPIFの内田和人氏はエンゲージメント活動と企業インタビューの結果を報告し、HESTAのジェームス・ハーマン氏は、インパクト投資の取り組みを紹介しました。続いてパネルディスカッションでは、企業年金、生命保険、大学基金が、金利のある世界における投資戦略やインパクト投資への対応状況など、各社の事例を基に議論を交わしました。
第三部では、個人投資家の資産運用における現状と課題について議論が交わされました。麗澤大学の平山賢一教授は、日本の個人投資家が直面する「3つの壁(格差拡大社会、超高齢社会、情報氾濫)」を提示し、ネットワーク形成の重要性を提言。SIASのポーリーン・ソー氏は、投資教育の要点を共有しました。続くパネルディスカッションでは、行政、教育、研究、実務の各立場から、個人投資家の行動変容を促す制度整備や教育アプローチについて多角的な意見交換が行われました。

本カンファレンスを通じ、資産運用立国の実現に向けた多角的な議論が深められたことを大変嬉しく思います。開催にあたって、多数の日本CFA協会会員およびボランティアの皆様から多大なるご協力を賜りました。この場を借りて心より御礼申し上げます。
パブリック・リレーションシップ・コミッティ 糸洲 亮汰, CFA
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